震災復興支援

東日本大震災からの復興支援

平成23年3月11日に発生した東日本大震災及び原子力発電所事故により亡くなられた方々のご冥福をお祈り申し上げますとともに、そのご家族や被災された方々に、心よりお悔やみとお見舞いを申し上げます。また数多くの皆様にご心配いただき、お見舞いと激励のお言葉並びに温かいご支援を賜りました。心より感謝申し上げます。

登米町森林組合がある宮城県登米市登米町(とめし とよままち)は、宮城県の北東部に位置し、津波により甚大な被害を受けた南三陸町に隣接しています。
そのため登米町森林組合では、南三陸町をはじめとして各地において震災からの復旧・復興支援活動を、林業の力を活かして行ってまいりました。

このページでは震災の記録として伝えていくことを目的として、登米町森林組合が行って来た活動についてご報告致します。

① 木造応急仮設住宅
岩手、宮城、福島の被災3県での仮設住宅戸数が53,537戸を超える未曾有の大災害の中で、平成23年4月1日に国土交通大臣から「被災地域の復興支援の観点も踏まえ、地域の工務店などの建設業者による地域材を活用した住宅などを仮設住宅として活用するよう各県の取り組みを支援すること」との指示が発せられ、プレハブ建築協会以外の仮設住宅建設に道が開かれました。

登米町森林組合では、上部団体である宮城県森林組合連合会を筆頭に、建設業、資材商社など計4者によるJV(共同事業体)を結成してその構成員として登米町大工組合、津波で被災した南三陸町の建設職組合を加えて可能な限り地元雇用、資材の地元調達ができる体制を整備。南三陸町での木造応急仮設住宅建設に着手して、工事から約1ヶ月後の平成23年8月に竣工しました。

木造仮設住宅は一般的なプレハブ造と比較してコスト高になると考えられていますが、同等コストで建設できた上に、断熱性にも優れる居住空間を提供する事が出来ました。

② 木造災害公営住宅
木造応急仮設住宅建設における、地域雇用、地域木材の有効活用が認められ、宮城県登米市に建設される災害公営住宅のうち32戸について、宮城県森林組合連合会、地域3森林組合、宮城県建設業協会登米支部、登米市建設職組合、宮城県木材協同組合、協同組合ウッディ津山が加盟して組織された「登米市木造災害公営住宅建設推進協議会」が登米市と協定を締結して建設に着手。平成25年9月に起工式を執り行い、平成26年4月に10戸、同年11月に12戸を供給しました。

登米町森林組合はこの協議会の事務局として、工程調整や資材発注、実行予算管理等を担いました。

③ 組手什の寄贈
東日本大震災が発生して、各地の公民館や学校に開設された避難所での生活は、プライバシーを確保する間仕切りがないため、身体面に加えて精神面でも過大な負荷がかかっていたうえ、甚大な災害故に応急仮設住宅の建設が遅れて避難所生活が長期化することが懸念されていました。

この事態に直面して、震災から1ヶ月もたたない4月には、国土緑化推進機構にて東日本大震災支援に向けた緑の募金の使途限定募金が創設され、森林林業分野での復旧復興支援が本格的に後押しされはじめました。この緑の募金を活用して木製組立家具キット組手什を避難所の間仕切りとして使って頂く活動がはじまりました。

組手什とは、長さ2メートル、幅39ミリメートル、厚さ15ミリメートルの杉材に40個の切り欠き加工がされた部材を用いて、自由にかつ簡易に組み立てることができる家具キットです。この組手什は愛知県名古屋市の「組手什おかげまわし東海」鳥取県智頭町の「賀露おやじの会」が平成21年から取り組んでいたものです。
組手什の避難所への寄贈にあたり以前から製造、普及を行っていた名古屋市、智頭町に加えて、被災県の木材利用や今後の普及も念頭におき、宮城県のRQ市民災害救援センター、登米町森林組合が加わり活動が進められました。登米町森林組合では、公益財団法人みやぎ・環境とくらし・ネットワーク(通称MELON)を通して避難所に直接支援を行っている方々とコンタクトをとり、要望を確認しながら寄贈作業を行っていきました。

組手什による寄贈活動の詳細は、こちらをご覧下さい。

④ 図書館への組手什書架の設置
宮城県名取市の市立図書館が震災により建物に甚大な被害を受け、震災の約2か月後から車庫や自動車図書館などを利用して臨時開館していた中で、日本ユニセフ協会やsaveMLAKなどの支援をうけて、「どんぐり子ども図書室」が開館。ついでカナダ連邦政府とブリティッシュ・コロンビア州政府、カナダウッド・グループの東北復興プロジェクトによる「どんぐり・アンみんなの図書室」に、組手什を用いた本棚が設置されました。

ここで用いられた組手什は全て宮城県登米市産杉材を用い、登米町森林組合にて製造されたものが用いられています。本棚の組立はボランティアの方々が行いました。

⑤ 原木露地栽培椎茸の生産再開に向けて
福島第一原子力発電所の事故にともなう放射能汚染は、宮城県北東部に位置する登米市にも深刻な影響を与えました。森林林業分野に限っていえば特に特用林産品(きのこおよびその原木、薪、炭など)は極めて厳しい現実に直面し、原木露地栽培椎茸は平成24年4月25日に国による出荷制限指示を受けて以降、生産、販売が出来なくなりました。

登米町森林組合では出荷制限指示解除を目指して、当組合が事務局を務めていた「宮城北部流域森林・林業活性化センター登米支部」にて、農林中央金庫仙台支店、緑の募金の協力を得て2回に渡り講演会を開催(講師:東京農業大学教授 日本きのこ学会会長 江口文陽氏、筑波大学准教授 五十嵐泰正氏、岩手大学准教授 山本信次氏)して、放射能汚染問題を乗り越えて震災前よりも更に充実した地産地消のカタチを築き上げる方策を検討してきました。

また出荷制限の解除の為には、汚染されたほだ木(椎茸の原木)を撤去する事が必須の作業であり、宮城県の「汚染ほだ木等撤去集積事業」により登米市内4生産者の汚染ほだ木約7万4千本の撤去にあたりました。

さらに地域生産者、自治体と共同で「登米市露地栽培原木しいたけ生産推進協議会」を設立。出荷制限の解除に向けて地域全体で取り組む体制が整えられました。これらの努力がみのり、宮城県登米市は平成26年8月26日に、宮城県で初めて国による出荷制限指示が解除となりました。

⑥ 大学による復興支援への協力
今回の震災では、大学生の活動もめざましいものがありました。登米町森林組合ではご縁をいただき、千葉工業大学、東海大学の方々の支援活動を僅かではありましたがお手伝いする機会を頂きました。

千葉工業大学では工学部建築都市環境学科の学生方を中心として「プレイグラウンド・サポーターズ」が組織されて、国主導で行われるスピード効率優先の復興の中でなおざりにされてしまう子どもたちに寄り添いながら、木材を活用した遊び場をハードソフト両面からサポートする活動がなされてきました。

東海大学では震災以前から、チャレンジプロジェクトとして学生の自由な発想で企画立案したプロジェクト活動を大学が支援する制度があり、発災直後に新たな取組として「3.11生活復興支援プロジェクト」が発足しました。学生方は震災間もない地に自ら出向き、建設用地の確認から施工までを一貫して行い、5月初旬に公民館は竣工しました。これらの活動が結実して、越喜来泊地区にて泊区復興まちづくり会議が組織されてNPO法人アーバンデザイン研究体とともに、集団移転事業へのアドバイスやコミュニティの充実の為の様々な活動が行われています。

今回の震災での活動をとおして学生方は多くのことを学び、社会に羽ばたいていくことでしょう。

東日本大震災からの復興支援に関する新聞記事(連載11回分)を公開しております。
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