百年の森輝く~登米町森林組合
日本は、はるか太古の時代から森と共に暮らしてきました。森は木材という貴重な資源を私たち人間に与えてくれ、住まいや暖をとる為の燃料として使われ、また、山菜やきのこ等の食料を与えてくれたと共に、心のよりどころとして日本の文化の熟成に関わってきました。そして、豊かな森を維持しながらその恵みを利用する上でのルールが人々にはありました。
日本の森林面積は25,121千haであり、国土の実に68%が森林です。これほどの森林国は、フィンランド74%とスウェーデン67%くらいであり、森林国と思われがちなドイツでさえ32%、アメリカ37%、カナダ34%であり、日本は世界的にも森林に恵まれた国です。
現代の日本人は、この豊かな森林を十分に活用しているのでしょうか。
3つのグラフが示す日本の林業の現実
日本の林業の現実は3つのグラフから読み解くことができます。
戦後復興期と高度経済成長期に急増した木材の需要に対して、日本では拡大造林が行われ、木材生産を目的とした人工林が全国的に展開されてきました。
その結果、日本の森林の実に41%、10,361千haが人工林となりました。
しかし、戦後復興期の木材需要に端を発した外材の輸入は、日本の人工林が熟成しつつある昭和50年代以降も増え続け、現在では木材自給率は28.6%(平成25年)と低い状況にあります。
他方、日本では、木材の主要な用途である建築の要求、たとえば乾燥材や寸法精度、供給体制等の生産システムを整える事が出来ずに市場で受け入れられなくなり、結果として木材供給量を上げることが出来なかったと考えられます。このことは、木材価格の推移にもあらわれており、昭和55年をピークに消費者物価指数の上昇とは逆に木材価格は下落を続け、現在では昭和30年代と同水準にまで落ちてしまいました。
木材価格の下落は森林所有者の素材生産意欲を減退させて放置森林を増やし、その森林を管理するために、多額の補助金が投じられて各種の施業が行われているのが現状です。
現在、世界で地球温暖化が進行しており、その主な原因である二酸化炭素を吸収できる森林に対して、大きな期待が寄せられてます。これを背景として、内閣府が実施している「森林と生活に関する世論調査」では、地球温暖化防止能に対する期待が年々高まりをみせています。しかしその一方で、木材生産の場としての森林に対する期待は低下しています。
国内森林の41%が木材生産を主目的とした人工林である現実の中、林業が経済行為として成立しない限り、森林は地球温暖化防止能を発揮することはできません。この“期待のギャップ”を埋めることは、林業に携わる者にとって大きな課題となっています。
登米町森林組合が目指す林業のすがた